デザイナーズ家具【ユーデザイナーズ】

マルセル・ブロイヤー

マルセル・ブロイヤー

Marcel Breuer

マルセル・ブロイヤー

( 1902-1981 )
ドイツ

モダニズムを提唱する建築家であり、20世紀を代表する家具デザイナー、プロダクト・デザイナーです。

ハンガリーはペーチで生まれたマルセル・ブロイヤーは、ウィーンで美術を学んだあとに故郷の建築事務所に勤めていました。その後は、ドイツ・ヴァイマルに設立された美術や建築に関する総合的な教育を行う「バウハウス」の一期生となります。
当時、初代校長のドイツ建築家で後に近代建築の四大巨匠と呼ばれるうちの一人ヴァルター・グローピウスにその才能を見出され本格的に家具のデザインを始め、同校を卒業後はマイスターと呼ばれる教官になります。

1930年代に入ると、ドイツ国内におけるナチスが台頭するようになったことから、ユダヤ人であるブロイヤーはロンドンに移住して、バウハウスの恩師であるグローピウスと共に成型合板を使った家具デザインをスタートさせます。
ロンドンではIsokon社に主任デザインナーとして雇われながら、プライウッドの長椅子をデザインしようと歪曲を構成する技術を試みています。
結果的に、アメリカのチャールズ・イームズ夫妻によりプライウッドを使った家具が発表されましたが、ブロイヤーによる試みはそれよりも以前のことであり、彼の実験や時代の先を読む能力は非常に高い評価を得ています。

1937年には、恩師グローピウスを追いアメリカに移住したブロイヤーは、ハーバード大学デザイン大学院で建築を教えるようになりました。教え子には、その後世界的に有名な建築家になるフィリップ・ジョンソンやポール・ルドルフなどの若手建築家たちがいます。
この当時は、グローピウスと共にボストン周辺に住宅デザインを手がけていましたが、その後はパートナー関係を解消し、1946年にニューヨークにマルセル・ブロイヤー&アソシエイツを設立しました。

事務所を設立してからはいくつもの建築を手がけて精力的に活動していましたが、中でもパリのユネスコ本部による設計の依頼はブロイヤーにとって大きなターニングポイントでもあり、はじめてコンクリート使用した大プロジェクトでした。

彼が世に残した多くの作品の中でも、とくに有名な代表作といえば金属パイプを曲げて作られた「ワシリーチェア(クラブチェア B3)」です。
この住宅用の椅子は、美術家のワシリー・カンディンスキーのために鉄とレザーを使い作られています。大きな特徴は、もともとは自転車のハンドル部分のスチールパイプを用いていて、工具を使えば自分で簡単に組み立てられるといった非常に画期的なアイデアであったことが大きく話題になりました。
その先迎えることになる大量生産時代をまえに発表されたブロイヤーの椅子は、名作の椅子として現在もなお製造され続けています。

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